「塔の街の伏龍」のシナリオをサンプルに、Return of the Lazy Dungeon Master GMで事前設計、5 Room Dungeonでシナリオ作成手法を紹介させていただきます。
目次
Return of the Lazy Dungeon Master GMとは
Return of the Lazy Dungeon Masterは、ゲームマスターがより少ない準備でゲームからより多くを得られるように設計された本です。
様々な実用的なノウハウが案内されています。
Return of the Lazy Dungeon Masterのチェックリストをもとに事前設計をします。
- キャラクターを確認する
- 強力なスタートを切る
- 潜在的なシーンの概要
- 秘密と手がかりを定義する
- 素晴らしいロケーションを開発する
- 重要なNPCの概要
- 関連するモンスターを選択する
- 魔法のアイテムの報酬を選択する
5 Room Dungeonとは
5部屋のダンジョン制作をモデルに、 様々なシステム・世界観の シナリオを作成する手法が紹介されています。
案内されている5つの部屋のフレームワークを用いた 87のシナリオ事例など、自作シナリオの参考になります!
5 Room Dungeonでシナリオ本体を作成していきます。
- ルーム1:エントランスとガーディアン
- ルーム2:パズルまたはロールプレイングチャレンジ
- ルーム3:トリックまたはセットバック
- ルーム4:クライマックス、ビッグバトル、またはコンフリクト
- ルーム5:報酬、啓示、プロットツイスト
実際のシナリオとその解説
実際に書いたシナリオにコメントを添える形で紹介していきます。
Return of the Lazy Dungeon Master GMで事前設計
キャラクターを確認する
参加するPCを確認します。
こちらの企画はセッションごとに参加PCが変わります。
どの方が、どのPCで参加されるか確認します。
参加PCを確認して、シナリオや敵のデータを調整します。
今回はベテランのPLさんばかりで、ACも高いPCもいたのでセービングでダメージ与える系のギミックやエネミーを用意しようと思いました。
掛け合いなどを想定してシナリオの描写などにも手を入れます。
強力なスタートを切る
サクラからの依頼「塔の探索」
塔でのクルルからの依頼「塔の修復」
依頼を受けてもらうため、セッションのスタートを切るためのシーンを構築します。
活動を止めていた新聞社の復活を手伝ってほしいという依頼。
さらに参加PCの設定などを組み込む形で、NPCに最初から仕えているPC、頼られたPC、押しかけてきたPCなどのシーンを作れました。
潜在的なシーンの概要
ククルとの邂逅
冒険者とはという質問。
機械の修理
ガードロボとの戦い
八角塔の復活
セッション中に起こりうるシーンを書き留めます。
今回は、塔の管理者ククルを中心に、PCたちに質問をするシーン。塔の修理をするシーンなど盛り込んでみました。
秘密と手がかりを定義する
自然の力でエネルギーを生み出すといわれている絡繰りの塔、通称「八角塔」
風車のように見えて、マイクロウェーブ受信施設。
強大なエネルギーを生み出す。
セッションに関わる秘密や真相、手がかりなどを設計します。
風力発電と思わせて太陽光かなと思わせてマイクロウェーブ受信施設という秘密を仕込んでみました。
マイクロウェーブ受信施設と予想した方にも、アニメによる演出というサプライズを仕込んでみました。
素晴らしいロケーションを開発する
塔の管理者ククルとの出会い
宇宙を飛ぶ星(衛星)から降り注ぐ雷
それを受ける八角塔
そのセッションならではのロケーションやシチュエーションを設計します。
宇宙から塔に降り注ぐ雷というシーンを設計してみました。
重要なNPCの概要
ククル(KKR-WH ククルカン)
八角塔の管理者。冒険者が来たことで意識が再起動した。
ただ塔の機能は復活しておらず、修理やガードロボの排除をお願いしてくる。
セッションに関わるNPCを設計します。
今回は依頼役サポート役として八角塔の管理者ククルを設計しました。
ロボットを操る、働き者の管理者という事で、牧場の少女カトリをモデルにしました。
本体は飛行船を引っ張るドラゴン型のウォーフォージドということで、羽をもつ竜ケツァルコアトルの別名ククルカンから名前をとりました。
関連するモンスターを選択する
ガードドック 八角塔を警備している狗型のロボット。
シールドロボ 防御に優れている
ガードロボ 強力な殴り攻撃と電気攻撃を誇る
モンスターの選択と戦闘遭遇の構築など行います。
今回はオリジナルのエネミーという事で事前にククルからエネミーの情報を渡しました。
魔法のアイテムの報酬を選択する
飛行船を利用して世界各地で冒険できる世になる。
PCが手に入れる報酬や魔法のアイテムなどを設計します。
こちらの企画は魔法の武器はレギュレーションにそってお渡ししているので、シナリオの幅が広がるという形で報酬を考えました。
5 Room Dungeonでシナリオを記述していく
事前設計をもとに実際のシナリオを記述していきます。
今回5 Room Dungeonに連携したシナリオと分かりやすいように、塔の各階に内容を割り当ててみました。
導入
導入はPLさんにお願いした事前の登場シーンの描写に合わせて変えたのでこちら初期案になります。
冒険者たちに声をかけてきたスティール・ディフェンサーを連れた少女サクラ。
パーティパトロンとして、また新聞社として以前先祖が営んでいた「The Path Illuminated by the Dragon」を復活させたいと願うサクラの依頼は、新聞社兼印刷所としても利用されていた飛行船を復活させるため、とある遺跡を探索してほしいという内容だった。
その遺跡「絡繰り風車」というものを使えるようにすれば、飛行船が使えるようになるらしい。
この風車は形から「八角塔」ともよばれ、自然の力を飛行船などを動かす力に変えるものらしい。
いまは風車らしい部分も、上を向いてしまっていて使えない状態。
たまに女の声がするらしく怖がって誰も近づいていない状況だ。この施設が復旧し、飛行船が使えるようになれば、「The Path Illuminated by the Dragon」の復活のきっかけになるだろうとサクラは熱く冒険者たちに頼み込んだ。
導入はルーム1に記述することもありますが、塔の各階に内容を割り当てて書いてみたかったので別個書きました。
ルーム1:エントランスとガーディアン
塔の中にテーブルを変えますね
中に入ると45m四方の広い部屋です。八角形の形で壁があります。
壁に窓などはないですね。
幽霊騒ぎがおきるまで倉庫かわりに使われていたので、荷物などが済みに積み重ねられています。階段らしきものはなく、真中あたりにガラスの部屋のようなものがあります。
扉にはいくつかボタンのようなものがあって、1.2.3.4と書いてあります。
ボタンの横に20センチ大ほどの正方形のガラスの小窓もありますね調べる、ボタンを押すなどの行動をした場合
「すみません。」
という女の子の声がしてきます。
判断力判定で10に成功すると、驚かずに小窓に誰かうつっているのがわかります。白黒画像を貼る
白黒でノイズなどもまざるのですが、ヒューマンの女の子が映っています。
声もノイズ混ざりなのですが
「すみません。助けてください。2階にきていただけますか?」
といってきます。
そういうとガラスの戸が開き、ボタンの2の文字が点灯します。
誰かと聞くと
「私はこの塔の管理者でククルといいます。みなさんにお願いがあるのです」
「その階はでは話しにくいので、私のいる2階にきていただけますか」
セッションの舞台となる場所が現状のままある理由を案内する。
エベロンには、エレベーターがあるので、すんなり受け入れてもらえました。
ルーム2:パズルまたはロールプレイングチャレンジ
ガラスの部屋に入ると扉が閉まり、床が2階にむけてせりあがっていきます。
2階部分につくと扉が開くので2階部分にいけます。
1階代入り少し狭いですね。
外から見た感じでもわかるのですが、上の階にいくほど少し狭くなるようです。2階は壁面に様々な道具が埋め込まれている感じの部屋です。
ガラスが埋め込まれた窓のようなものがいくつかあり、そのひとつから女の子の声が聞こえます。
3メートル四方ほどの大きなガラスですね。そこにヒューマンの女の子の姿が映されます。
カラーですし、画像も鮮明ですね。
画面の女の子が声をかけてきます。
「お願いきいていただきありがとうございます。私はこの塔を管理しているククルといいます。」
「私はマスターの指示で、この塔や兄弟たちの管理をしていました。」
「しかし数年前にマスターと連絡が取れなくなり、ここでマスターを待っていました。」
「いつかこの地に新たなマスターとその仲間が来たら助けてほしいというメッセージを残されていたので、私はずっとみなさんをまっていました」サクラの持つ板をみて
「そのタブレットを持つ人たちをマスターの意思を継ぐ人たちとしてサポートしていければと思います。」判断力判定12お願いします。シヴァさんは有利でいいです。
成功するとククルがシヴァを慈しむような懐かしいような表情でみているのに気づきます。「塔の機能が一部壊れたり自律型のロボットが一部暴走しているようなのです」
「私もサポートしますので、修理を手伝っていただけませんか。メインの作業場所は3階になります。」「私も同行しますね」
そういうと画面から姿を消し、サクラの持つタブレットと言われた板の中に姿を現します。
この道具を通して、3階の様子がわかるようで修理の指示などできると言ってきます。質問など
マスターとは
サクラの祖父、ジャン・ド=カニスのこと。
創造のドラゴンマーク氏族の天才的技術者で、飛行船やライトニング・レイルの根幹的な技術開発にも関わったとされている。
5年前、サクラが両親を亡くしたライトニング・レイルの大事故の後、サクラをシヴァに託して姿を消した・ロボットとは
「この塔を守るために作られたロボットたちです。この3種類がいます。」
敵のデータ公開。・修理はどんな作業
「配線をしてもらったり、ものを動かしたりの作業です」
ゲーム的には工程管理カードで処理させていただきます。引き受けてくれると嬉しそうに
「ありがとうございます!この塔が直れば私も皆さんのお手伝いができると思います」「マスターの遺志を継ぐ方たちと出会えてうれしいです。」
「みなさんはこれからどんな冒険をしていきたいですか」聞き終わると
「とても参考になりました。良い冒険をしていきたいですね」
といいます。
インスピレーションを1個もらえます。
ルーム2では、今回のセッションがスムーズに動くための情報や、ロールプレイのきっかけになるようなシーンを案内します。
ククルの修理の依頼や、同行してのロールプレイシーンを用意しました。
「みなさんはこれからどんな冒険をしていきたいですか」」という質問をPCにしています。
これはデッドラインヒーローズというシステムのクエリーという手法です。
さらにスムーズにいくように質問内容は事前に案内しています。
エネミーのデータもオリジナルだったので、敵のデータをもともと管理者だったククルが教えるという形で案内しています。
ルーム3:トリックまたはセットバック
ククルとともに3階に来ます。
様々な機械や配線が並んでいます。
「タブレットを部屋が見えるように掲げていただけますか」
かかげると光のようなものが出て部屋を一周するように照らしていきます。
「やはり壊れている箇所があるようです。修理に力を貸してください。
一部壊れているようで修理が必要なようです。工程表で処理を行っていきます。
工程管理イベントで作業の見える化をしました。
8種のカードとそれに対応したシーン描写で処理します。
ゴールは縦方向に3枚のカードの配置です。イニシアチブ判定で高い人からイベントを処理していきます。
イベントで判定が出た場合は、挑戦できるのはイベントの担当PCだけです。イベント終了した人は次のPCを指定できます。
指定されたPCは新しくカードを引く代わりに、直前に出た判定に再挑戦できます。
こちらは途中行程表イベント獲得フォーチュンを消費することで再挑戦できます。こちらのイベントの途中行程表イベント獲得インスピレーションは2です。
2回どこかで再挑戦できます。
カードの中には途中行程表イベント獲得フォーチュンを回復するイベントもありますので、うまく使いこなして工程を進めてください。
例:知力判定が必要なイベントに失敗した、知力の高いPCを指定して再挑戦してもらう。という感じ。戦闘A ガードドックとの遭遇
ガードドックPC数-2体と遭遇します。
一番高い判定力×2の距離での戦闘になります。判定A 切れている回線
一部切れている回線があります。これをつなげればうまく塔が動きそうです。
細かい作業なので敏捷力13判定に成功する必要があります。判定B 放電する機械
電気が漏れている機械があります。
作業をするには電気に耐えつつ作業する必要があります。
耐久セービング14に成功する必要があります。
失敗したらうまく作業できず、さらに1d6の電気のダメージをうけます。判定C 曲がったパーツ
曲がってしまったパーツを戻すため筋力判定15に成功する必要がある判定D 行程チェック
見たこともない機械ばかりだ。ちゃんと作業をするため、知力か魔法学で15に成功する必要がある。休憩A 天才エンジニア
天才的な修理の腕前で時間に余裕ができそうだ。
休憩の時間を確保でき、イベント獲得インスピレーションが1点回復する(2点以上にはならない)進行A 順調な作業
問題なく修理作業を進められます。分岐A 作業ミス
どうやらやり方を間違ったようだ。
別のアプローチが必要だ。修理が終わると
「これであとは4階のメインケーブルを繋げば塔を使えるようになるはずです」
「でも4階は警備用のロボットがいると思います。気を付けてください。」
セッションの盛り上がりを作るようなトリック、トラップ、またはセットバックを案内します。
工程管理イベントというものを用いて判定のある場面など作っています。
シナリオの内容によって、工程管理イベントをカスタマイズしてつかっています。
カードの枚数んどで、ある程度セッション時間調整できるので便利です。
ルーム4:クライマックス、ビッグバトル、またはコンフリクト
奥の方に大きなケーブルがあるのですが、根本が抜けています。
そのケーブルの前に立ちはだかるように、動く機械が3体います。
小さなものが2体、大きなものが1体です。
説明されていた自律型のロボットだと思います。
ロボットは問答無用で襲いかかってきます。
ケーブルを繋ぐ作業するにはこいつらを倒す必要があります。倒すとケーブルを繋げることができます。
繋げると
「これで塔を起動できるはずです。」
「2階に戻り作業しましょう」
最後のバトルや試練を案内します。
描写は少なめです。
実際の戦術などはテスト戦闘するなどして行っています。
ルーム5:報酬、啓示、プロットツイスト
修理を終え、3階に戻ると様々な機械にいろいろなものが表示されています。
外の様子などなどですね。
修理の効果があったようです。
ククルも緊張するような期待するような表情で画面に映っています。「ありがとうございます。再起動作業をはじめていいでしょうか」
c1 受信装置展開
起動を始めるとアラーム音が塔に響き渡ります。
モニターのひとつに塔の外部の様子が映ります。
屋上の羽が動き出すのですが
回る感じでなく羽がいくつか重なって円盤状になっていきます。c2 近づく星
「3次元レーダーを確認してください。星が近づくのが見えるはずです」
そういわれてみた装置には、たしかに何かが上空に近づいてきているのがわかります。c3 星の正体
塔のはるか上空に「星」よ呼ばれるものが来て止まりますc4 放電
星の針のようなものの先端に雷のようなものが現れます。c5 降り注ぐ雷
針の先から、地上に向けて大量の雷が放出されます。c6 星の雷をうけて
降り注いだ雷を八角塔がうけとめます。c7 復活する八角塔
雷の力を受けて八角塔が復活つしたことがわかります。「ありがとうございます。おかげさまで八角塔は復活しました」
「シャーンのビルにも八角塔からエネルギーを送る段取りをしておきます」
「私もシャーンに移動して皆さんを迎える用意をしておきますね。」
そういうとタブレットから姿を消します。
最後の部屋は、セッションに貢献したPCの成果を案内します。
無事に塔が復活することをアニメを用いた演出で案内しました。
描写に合わせてユドナリウムにアニメを貼った地形をドロップしていく感じです。
毎回依頼人からの感謝のシーンも入れています。
その後ククルカンと飛行船の登場シーンや、キャンペーンの指針となるPLD創設者のメッセージを案内しました。
セッション頻度を上げ、実際のセッションの進行管理をしやすくするために、この手法はいい感じ
こちらの企画をもりあげるために、がんばってDMしていこうと決めました。
エベロンは魅力的な世界観なのでネタは浮かぶのですが、実際に形にするときにこの手法はとてもいいと感じました。
企画自体の進め方などはこの本も参考になりました。
The Prepless GM 準備作業なしでTRPGを 遊ぶノウハウ本です。
プレイヤーに問いかけていく「共同ストーリーテリング」など セッションの状況を整え、不測の事態に対応するノウハウが満載です!
TRPGのセッションを楽しようとは思いませんが、いろいろ試して効率化していければと思います!