目次
ベーテ先生特別インタビュー
自己紹介 タグッチャウチャウ
今日はよろしくお願いいたします。
まずは簡単に自己紹介していただいてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
グループSNEのベーテ・有理・黒崎です。
『パグマイア』と『マウ連合君主国』の翻訳を主に担当しました。
パグマイアを翻訳しようというきっかけは
私がパグマイアが翻訳されることを知ったのは、ウォーロックマガジンのvol4でした。
パグマイアを翻訳しようと思ったきっかけを改めてお聞きしてよろしいでしょうか。
2017年のGenCon(アメリカの大型ゲームコンベンション)に参加した際に表紙を見て、そのあまりに明瞭なコンセプトに一目惚れして即座に購入。
その場で読み始めて「単に犬でD&D」なのではなく、「ファンタジーに見せかけて、実は知性化動物を主人公としたポストアポカリプスSF的世界」であることを知って惚れ直したのが始まりです。
社長に「翻訳したいです」と直訴し、その場でオニキス・パスの方と交渉を始めました。
その後、色々あって結局本格的に翻訳が始まったのは2018年に入ってからでしたね。
ウォーロックマガジンのvol4のパンは「オイラ」呼びで若く、だいぶイメージが違いました。
パグマイアはウォーロックマガジンのvol4がでたころは、どのくらい展開されていたのでしょうか。
お恥ずかしい!
これは僕がパンが「老犬である」という描写を読み落としてしまっていたためですね。
そのせいで「ホラ話と自慢話が長いベテラン」ではなく「お調子者の若い犬」のイメージでした。
あの時点ではルール関係が概ね終わり、世界観にかかっていたころではないかと思います。
まあ、そこも色々と勘違いがあったりしたのですが……(苦笑
公式動画について
公式動画についてもお教えください。
パグマイアの実プレイ、パンの日本語字幕、『フェッチクエスト』ルール紹介と素晴らしい動画を公開されています。
こういう動画の活用は最初から計画に会ったのでしょうか。
また反応はいかがですか。
これに関しては僕というよりは、社長のアイデアがほとんどです。
中々特殊な世界観なので、エントリーポイントを多く作って広くPRしていきたいと考えておられるのだと思います。
手厚いウォーロックマガジンのサポートについて、社内DTP班の方について
実際にパグマイアを遊ばせていただいていて、手厚いウォーロックマガジン(現:GMウォーロック)のサポートがありがたいです。
ウォーロックマガジンのサポートについても、マウ発売後のパグマイアのサポート体制含めてお聞きしていいですか?
『ウォーロックマガジン8号』でも色々と書いています。
今回からは『マウ連合君主国』のサポートも始まるので、「マウとパグマイアを混ぜて遊ぶリプレイ」、「マウのキャラクター作成記事」そして「犬と猫以外の知性ある種族に関して」と3つ記事を書きました。
また、「Tales of Excellent Cats」という電子で発売されているマウのシナリオ集からシナリオを1本収録しています。こちらはゼサンくんが翻訳しています。
今後のサポート体制としては、パグマイア、マウ共に、主にウォーロックマガジンの記事でサポートしていくことになるかと思います。
記事によるサポートの他、シナリオ集や短編集などからの翻訳紹介も続けていく予定です。
動画も、またやれるといいなとは思っていますが、今のところ予定は未定ですね。
つぶやきのタイミングなど拝見するに、相当ぎりぎりまで社内のDTP班の方が作業されていると予想しております。
そのぶんウォーロックマガジンにGMマガジンと私たちは定期的に最新の情報にふれられるわけですが、執筆されるベーテ先生にとって社内にDTPの部署があるというのはどういう印象でしょうか。
いや、もうホント無理させてしまって申し訳ない……(汗)
マウについて
いよいよマウが発売されます。
マウについてもおきかせください。
まずマウについて簡単におききしてよろしいでしょうか。
『マウ連合君主国』は『パグマイア』と同じ世界観で、犬の王国の東にある猫の都市国家連合で知性化された二足歩行の猫のキャラクターで遊ぶTRPGです。
猫派大歓喜!
パグマイアの「良き犬であれ!」に対して、マウは「常に本能を信じろ!」
マウのPCのスタンスなどについてお聞かせください。
マウではPCは主に先駆者(トレイルブレイザー)という立場になります。
これは犬族の開拓者(パイオニア)とほぼ同じようなシステムです。ですが、メンタリティとしては大きく異なります。
パグマイアの犬たちは「ヒトの規範」という絶対の道徳があり、妄信するにせよ反発するにせよ全てのスタンスをそれを基軸に考えることができました。
対して、猫族には絶対的道徳規範はありません。
マウの国訓にしても、「本能を信ぜよ」とは己を信じろということです。
即ち、道徳規範を外(教会)ではなく内(己)に求める必要があります。
ルールブックにもありますが、「猫には自分が“善き犬である”と保証してくれるものはなにもない」のです。
そんな中、“善き犬”ではなく“素晴らしき猫”であろうとするのがPCのスタンスです。
パグマイアとマウ
パグマイアとマウ世界観は同じです。
それぞれ遊ぶのはもちろんですが、混ぜて遊びたいも出てくると思います。
実際に混ぜて遊ぶ際のコツや注意点があれば教えてください。
パグマイアとマウを混ぜて遊ぶ際の注意点はルールブックに書かれています。
といっても、ルールの違いはごく僅かですので以下のことに気を付けていればまったく問題なく遊べます。
- 猫族はフォーチュンを個々で保有するかボウルに入れるか選べる。
- 猫族は「準備」アクションを選択した時有利になる。
- 猫族は魔法で大失敗するとバックファイアが起きる。
- 犬族は遺物を成長させることができ、猫族は遺物を吸収することができる。
- 二刀流のルールが違う(※マウのルールでは2回攻撃ができるようになるので、こちらに統一した方が楽しいと思います)。
先ほども言いましたが、『ウォーロックマガジン8号』で混ぜて遊んだリプレイを掲載しています。
比率は猫3の犬1ですが、まったく問題なく遊べました。
是非みなさんもためしてみてください!
ベーテ先生に質問コーナー
先生への質問をいくつかいただいたのでお答えください。
パグマイアの公式キャラで好きなキャラは誰ですか。
プリンセス・ヨーシャ・パグですね。
「俺はパグのお姫様だ」と自己暗示をかけて『パグマイア』の第一章(「ヨーシャ・パグの日記」)を書いたのですが、その過程ですっかり好きになりました。
次点はスパイク・ザッシュですね。
ついでに、マウの方ではサビアン・スフィンクス・フォン・アンゴラが好きです。
幕間での彼がもう、かわいいのなんの……オタク気質なところも含めて愛しいですね。
パンの新米開拓者ガイドで、サンプルPCの紹介の原初の「me」が「拙僧」「私」「あたし」などに翻訳されていました。これが翻訳か!と感動しました。TRPGならではの翻訳話の苦労や楽しいところをお教えください。
僕は元々日本語の豊富な一人称と、それを使ってキャラクター性を表現できることが大好きなので、そのあたりはついつい凝ってしまいますね。
マウのサンプルキャラに一人称「我輩」のキャラクターを入れたかったのですが、どうにも合う者がいなくて……翻訳の苦労話というと、TRPGならではではないのですが、「人は神のようなものだから人という漢字を使わないで翻訳しよう」と考えたのですが……まあ、これが難しいのなんの……未だに苦労しています(苦笑)。
あとは「~です・ます」調にするか「~だ・である」調にするか、という点でしょうか。
ずっと関わってきたソード・ワールド2.0/2.5が基本的に「~です・ます」調だったのと、パグマイアのルールブックがどうも読んでいて「筆者が語りかけてくる」感覚が強かったので僕は当初すべて「~です・ます」調で書いていたんですが、D&Dユーザーにわかりやすいようホビー・ジャパンさんのD&Dの翻訳を参考にすることが決まった際、それが「~だ・である」調だったんですよね。
ただ、「語りかけてくる柔らかな感じ」は残したかったので、データは「~だ・である」本文は「~です・ます」と書き分けることになりました。
先生のTRPGとの出会いや、印象に残っているセッションをお教えください。
TRPGとの出会い自体は小学生の頃、アメリカの幼馴染の兄がD&Dを遊んでいて、それについての会話を聞いて興味を持ったのが最初ですね。
ただ、実際に遊ぶ機会を得るにはアメリカの高校に転校した17歳の時を待たなけれなならなかったのですが…… 印象に残っているセッションは……人生で二冊目のリプレイ本(『ソード・ワールド2.0リプレイfrom USA(2) 姫騎士襲撃─プリンセスナイト─ 』)に収録されている1本目の話です。
わかる人はわかるかと思います。
先生はオンラインセッションは遊ばれますか?SNEさんではどのくらい遊ばれていますか。
大学生の頃は朝早くに起きてIRCで日本の友達とテキセをしてから昼食を食べ、授業に出て終わったら学友とオフセをする、みたいな生活でしたね……
SNEではオフラインが主流なのですが、コロナ禍を機にソード・ワールド班はテストプレイなどオンラインに以降しています。
最後にファンの皆さんにひとことおねがいします。
みなさんがパグマイアを遊んで、楽しみ、感想をネットに上げてくれて……僕が惚れこみ、日本のユーザーにお届けしたいという願いが実現したことが、本当に励みになっています。ありがとうございます。
今度、『マウ連合君主国』の発売で、パグマイアの世界は更に広がっていきます。それを是非、みなさんにも感じて欲しいです。
それでは最後に、
「善き犬であれ! そして素晴らしき猫たれ!」
今日はありがとうございました!